強制起訴に「2つの壁」 JR福知山線脱線事故で検審議決(産経新聞)

 乗客106人もの生命が失われた未曾有(みぞう)の事故をめぐり、JR西日本のかつての経営トップの刑事責任が問われることが確実になった。だが、検察官に代わり強制起訴にあたる指定弁護士は今後、「証拠」と「時効」という2つの壁に直面することになる。

 起訴議決で、神戸第1検察審査会は「最高責任者として安全対策を指示すべき立場だった」ことを、井手正敬氏(74)ら歴代3社長の注意義務違反の根拠とした。審査を申し立てた遺族と同様、「トップが責任を負うのは当然」という市民感覚を反映させた判断といえよう。

 今後、指定弁護士は、「起訴」に向け、検察官役を務めていかなければならないが、神戸地検が4年を超える捜査の末にたどりついた「刑事責任を問えない」との結論を覆す作業は容易ではない。

 地検幹部は「3人を起訴するに足る証拠は一切ない」とまで断言している。起訴だけでなくその後の公判維持も見据えれば、膨大な量の捜査記録を精査したうえで、必要な証拠を得るために補充捜査を行わなければなるまい。

 しかも、最後の犠牲者が亡くなった日から5年がたつ4月30日には、業務上過失致死傷罪の公訴時効を迎える。残された期間は1カ月しかない。

 証拠に基づくプロの法解釈と市民感覚との間に、限られた時間でいかにして着地点を見いだすか。“民意による起訴”を体現していく指定弁護士に課せられる責任と負担は、極めて大きいといえるだろう。(神戸総局 塩塚夢)

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